ステンレス材における表面の被膜の再形成目的について

製造工程でできた焼け跡も、酸洗いで美しく

例えばステンレス製品を作る際に度々用いられる、溶接という工程。これには部品同士を高熱で繋ぎ合わせた際の焼け跡が残ることがあります。これを消すために用いられるのが酸洗処理、つまり酸洗いです。強酸槽に製品を漬け込み、普通の洗浄方法では落とせないような汚れや錆も酸の力で落とすという方法ですね。それくらい強力な化学薬品を使うので当然危険も生じますがご安心を。これらはしっかりとした知識を持った人だけが行える工程で、安全面に十分な配慮がされています。
しかしこの酸洗い、ただ汚れを落とすだけの工程ではありません。それ以外にも、特にステンレス材にとっては欠かせない処理も行われているのです。汚れを落とすその中でなにが起きているのか、その答えはミクロの世界にありました。

化学反応を用いて錆に負けない製品を

水素と酸素を合わせて水になる、そんな反応を示したのが化学式ですよね。中学や高校で習い誰でも覚えがあるものと思いますが、なんと酸洗いにも関係していることだったのです。先ほど述べたステンレス材を例にして説明します。まずこのステンレス、表面には薄いミクロの被膜が張っていて錆から守ってくれているのですが、溶接の工程でこれがはがれてしまいます。酸洗いはこのときできた汚れを落とす工程ですが、実はその際ステンレスに含まれるクロムと酸素が反応し、再び被膜を形成するのです。こうして錆に強いステンレスが戻ってくるというわけですね。溶接の工程は外せないが、それで錆に強い被膜がはがれてしまうのは困る……ならもう一度被膜を作ればいいじゃないかという目的がそこにあったのです。

金属表面処理を材料の表面に施すことにより、腐食現象を防いだり強度や耐久性などを高めることができます。